Town design

Research

環境調査データをもとに省エネで、
心地よく暮らせる街づくりを目指した。

大林組の協力のもと1年間の調査を実施。パッシブデザインの可能性を開いた。

計画地の気象や植生などを1年間にわたって観測し、得られた環境データを活かした開発を行いました。風の通り道に沿ってメインストリートを設け、街じゅうに風が抜けるランドプランを作成。同時に住宅プランを検討し、風の通り道に開かれた窓や街路樹の緑と連続する外構など、街と住まいが有機的につながる住環境を計画しました。さらに、光や風などの自然エネルギーの効果を街レベルから住まいレベルまでシミュレーション。住まいと街が一体となって持続的な環境価値をつくり出すパッシブデザインを実現しています。

  • POINT.1開発前の地表温度を調査

    周辺に比べ、現地(下記イラスト黒線内)の地表温度が低いことがわかりました。

  • POINT.2開発前の風を調査

    夏季夜間に計画地の全体に微風が吹き、通風環境が良好なことを突き止めました。

  • POINT.3街区全体の風のシミュレーション[計画]

    風シミュレーションを踏まえた建物の配置による通風環境を確認しました。

  • POINT.4通風、日射を調整する設計

    外部と連続したLDK等で通風を工夫した
    建物としました。

    外部と連続したLDK等で通風を工夫した建物とする。

Land Scape

サステナブルな街づくりのために
風の道を活かし、景観をつくるランドスケープ。 

個性の違う3つの通りを中心にした景観計画。

街の景観軸となるのは、風の通り道に沿って設けられた3つの主要道路。それぞれに街路樹や植栽などに特徴を持たせて個性的な風景を創出します。この3つの主要道路を中心に、道路や公園と住宅を連携させて緑豊かで開放的な街の景観を創出。それ以外の小さな道路にも緑の街並みをつくるようにシンボルツリーや植栽帯を設けて、自然を感じる心地いい景観づくりを行っています。

街区概念図

  • 緑の通り

    緑豊かで開放的な街のメインストリート。歩道には西日を遮る街路樹や植栽を設け、セットバックされた擁壁が空間的なゆとりを創出します。

    「緑の通り」完成イメージイラスト

  • 風の通り

    街じゅうに風をめぐらすウインドパス。中央公園を通って続く歩行者専用道路です。植栽帯やベンチを設置して、ゆったり散歩を楽しめる環境です。

    「風の通り」完成イメージイラスト

  • 響の通り

    二つの公園へと続き、街のコミュニティを育む通り。中央植栽帯のカツラ並木が涼を創出。公園に接するエリアは歩行者専用道路です。

    「響の通り」完成イメージイラスト

電気設備などを地中化して
美しい景観を守り、災害にも強い[無電柱の街づくり]を実施。

電柱や電線類がないため、街の景観はすっきりと開放的。道路幅を広げて歩道を確保するなど、歩行者の安全に配慮しています。災害による電線の切断や電柱の倒壊リスクが回避でき、鳥の糞害対策にも効果的。無電柱化で、美しく暮らしやすい安心・安全な街づくりを実現しています。

「無電柱化」によるメリット
災害に強い電柱の倒壊や断線の心配がない
良好な景観スッキリした美観が生まれ
糞害の抑制にも有効
道路幅の拡張電柱の分、道路の有効幅が広がる

各通りには保水性の高いインターロッキングと遮熱舗装を用い
路面温度の上昇を抑制する技術を導入。

直射日光による道路の温度上昇は、ヒートアイランド現象の要因のひとつ。道路の蓄熱を防ぐ遮熱材入りの舗装や、雨水の蒸散作用で地表面の温度を下げる保水性インターロッキングなど、街を冷やす環境技術を適材適所に採用して、夏も快適な街づくりを行っています。

地面の保水性を高めて、気化熱によって路面温度の上昇を抑制する。

  • 保水性インターロッキング

    舗道のブロック内部に雨水を貯留するインターロッキング。気化熱によって地面の温度を下げて、ヒートアイランド現象を抑制します。

  • 透水性インターロッキング+Jミックス

    雨水を浸透させるインターロッキングの下に雨水をたっぷり貯留できるJ・ミックスを充填して雨水浸透貯留槽を形成。気化熱で路面の温度上昇を抑制するほか、ゲリラ豪雨にも対応。

路面の遮熱性を高めて、路面温度の上昇を抑制する。

  • IRガード(遮熱性表面処理)

    赤外線の吸収を抑える遮熱材入りの樹脂で道路表面をコーティングし、路面温度の上昇を抑制。道路の蓄熱を防ぎ、日中はもちろん夜間の道路からの放熱も削減します。

暮らしの快適性や安心につながる、「街のコミュニティ」を形成。

近隣との心地よいコミュニティは、暮らしの快適性や日々の安心につながります。街の人々との日常的な交流を育むために街区内の2カ所の公園や集会所などの施設を整備するほか、インターネットを利用した電子回覧板や掲示板システム、ニーズに合わせて利用できるコンシェルジュサービスなどのシステムも導入しています。

■ 街のコミュニティ

  • 見晴公園

    大阪平野を見下ろせる高台の「見晴公園」。桜や紅葉の丘があり、季節の移ろいも楽しめます。名神高速道路との緩衝帯隣、園内の二つ築山は近隣住戸への暴風・防音対策としての役割も果たします。

  • 中央公園

    街の中心部、風の通り道に設けられた緑豊かな「中央公園」。季節感を演出する落葉樹や花樹と常緑樹をバランスよく配置し、クールスポットとして機能するとともに四季折々の景観を生み出します。大小さまざまな広場が設けられ、地域の人々が交流しやすいオープンスペースです。

開放的なコミュニティキッチンや
会議場、和室などを備えた
地域コミュニティの拠点
「集会場」の活用

交流の場としてだけでなく
防災拠点としての役割も果たす

非常時の電源確保のための
「【大容量蓄電池】を装備
3電池[太陽電池・燃料電池(エネファーム)・蓄電池]を備えており 災害などの緊急時に電力を供給します。
非常時のトイレ洗浄水や雑用水の利用に備えて
【雨水排水再利用システム】を設置
集会所の地下に、70㎥の雨水貯留装置を設置。
(303世帯の3日分のトイレ使用水量に相当)
非常時の水・食料を備蓄する
「【防災備蓄倉庫】を設置

■ 街のセキュリティ

街の安全・安心を高めるためセキュリティサービス街区3ヶ所に防犯カメラを設置・1日2回の巡回警備を実施

Eco Technology

自然の作用と環境技術、
両方から考えたエコで快適な暮らし。

風と緑陰によるクールスポット。
街区、住宅の両面から考えるヒートアイランド対策。

パッシブデザインで快適な街づくりのために、街じゅうに緑陰によるクールスポットを計画しています。風の通り道にあたる街の中心部には緑豊かな公園を配置。風が抜けるメインストリートには陽射しを遮り涼を生む街路樹を、住宅のまわりにも植栽やシンボルツリーでクールスポットを創出。また、敷地境界には電気を使わず空気を冷やすドリップルーバーを設置し、住宅にも風が抜ける開口計画や空間デザインを採用。緑陰で冷やされた空気が風にのって住宅に取り込まれ、心地よい暮らしをかなえます。

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)

ZEHとは、高い「断熱」性能をベースに、高効率機器やHEMSによる「省エネ」、太陽光発電などによる「創エネ」を組み合わせることで、住まいの年間一次エネルギー消費量がおおむねゼロになる住まいのことです。

ZEH住宅(参考写真)

3電池スマートハウスで電力をほぼ自給。

太陽電池・燃料電池・SHE蓄電池の3電池を搭載し、消費エネルギーを減らして自宅で使う電力をほぼ自給するZEH対応の省エネルギープランを実現。停電時でも3電池から電力を供給できて安心です。

太陽電池:電気を創る + 電気を売る 燃料電池エネファーム:電気を創る + お湯も創る 畜電池:電気をためる + 電気を活かす

3電池住宅

緑陰とドリップルーバーによる涼風の形成。

■ 時の経過を考慮しながら豊かな緑を配置。

「風致地区」の制限により、敷地面積の20%以上の緑化を確保。 夏場には生い茂って木陰をつくり、冬には落葉して陽だまりをつくる落葉樹を各所に植樹しました。植栽計画では、陽射しと住宅との位置を考慮して常緑樹と落葉樹を植え分けます。

■ 室内へ流れる空気を冷やすドリップルーバー。

空間を仕切り、陽射しを抑え、風をやさしく通しながら、蒸発冷却により周辺に涼を呼ぶ「ドリップルーバー」を軒先に配置します。

ドリップルーバー(参考写真)

住戸内の通風促進

通風計画については、居室は原則2方向の通風を確保した計画。 それができない居室は、欄間付ドア等により上下温度差換気経路を確保します。また、風を住宅内に取り込むため、建物形状、樹木、又は縦辷り出し窓によるウインドキャッチを風向きに合わせて設置します。

  • 建物形状の工夫
  • 樹木の配置の工夫
    ウィンドキャッチ
  • 縦辷出し窓の工夫